社長失格
- 作者: 板倉雄一郎
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 1998/11/21
- メディア: 単行本
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ここ最近の空き時間で、友達から借りた本、社長失格を今読み終えた。
今まで読んだいくつかの起業にまつわるサクセスストーリーとは違った、失敗への道が描かれた本。
話は今から十年以上さかのぼるけど、当時の日本経済や世界状況、第三次ベンチャーブーム、マルチメディアとパソコンとインターネットのブーム、そして日本の金融市場におとずれた大改革といった事が、一人の社長の視線から詳細に記録されている。
激しく流れる社会の様子や、金融機関との駆け引き、時代の波に乗り飛躍し、そして時代の流れがプラスからマイナスに転じた事で、「栄光」から「挫折」へと突き落とされる姿は、発行から10年以上経った今読んでも、学ぶ事は多い。
特に、今まで読んだ起業家による「サクセスストーリー」とは違って、倒産に向かってどう進んでいくかということを、社長の視点から、日々の目まぐるしい移り変わりとともに追っていくのは、新鮮で刺激的だった。
著者であり、ハイパーネット元社長の板倉雄一郎氏は、日本の企業社会において経営者を務めるうえで、致命的な欠点を、
「組織」に対する理解が全くなかった
と自らを振り返っている。
インターネットの到来やベンチャーブームといった「組織から個人へ」という時代の転換を自らの足で駆け上りながらも、組織とそこに属する人間の論理を理解しきれなかった為に時代の「狂言回し」となり挫折へと向かった。
今も続く組織至上から個人至上へと移行する流れの、この本はちょうど始まりの時代を描いていた。
彼の言う組織の理論を理解し、コミュニケーション能力や人脈といったソーシャルスキルは
個人至上の時代を生きていく中でも、とても重要なスキルであることを再確認する。
また、彼のホームページを観れば分かるとおり、今もなお企業コンサルティングや講演など、多くの活動をしている。
何度でも立ち上がる、なんでもゼロから始める精神、行動力とスピード感。
板倉雄一郎氏の人間性からも多くを学ぶ事が出来た。
このような貴重な失敗経験を社会に伝えていただき、真に有難うございました。