400字からのからのレッスン 「水の入ったコップ」

バケーションも後残り一週間。早いっ!!
でも体も心も結構休まったかも♪


最近触ってなかったこの本
文章表現四〇〇字からのレッスン (ちくま学芸文庫) [ 梅田卓夫 ]

時間があったので2回目のレッスンを書いてみました。


今回は「水の入ったコップ」

透明のグラスに水をいれ、それを観ながら文章を書くという単純なもの。
初めは「書くことねぇ!!!」とか思ったけど
細かいところまで観て、メモをとったり絵を描きながらグラスを観てみると
色んな表情が見えてきて
それはもうただのグラスではなく 表情豊かで透き通る顔と
けして声に出して話しかけようとはしない優しい「君」に見えてきた



「水の入ったコップ」

のどが渇いた。君を一口飲んでしまいたい。でもその美しい曲線が崩れてしまいそうで、君がいなくってまた独りになってしまいそうで自分にはとてもそんな勇気はない。
君をこんなに長く見つめたのは初めてかもしれない。
笑っているの?僕にはそれさえも分からない。
君はあざ笑うかのようにいつも表情を変える。見えそうで見えない、はっきりとしたその性格で、すこしいやらしく僕を誘い込む。
会いたい気持ちとすこしの興味、そしていつも僕のどこかにいる恐怖心と共に君を覗き込む。
君はわかっていたかのように得意げに姿を変え、現実へと静かに戻す。
でもそこにはいつも必ず答えてくれる君の優しさがあり、強く透明で鮮やかな色を身につけた君がいる。
秒針の音とは無縁な静けさと、混ざることのない上と下という単純で、強くたくましい世界。
その二つは硬く美しく結ばれている。
君に会えてよかった。